単車生活 アラウンド60 !!

夏は暑い、冬は寒い──それでも、単車と過ごす時間は、やっぱりいい。 上手く走ることよりも、自由であること。 そんな還暦間近の単車生活、綴っていきます。

【2026 SSTRゴール編】早すぎる千里浜到着、そして完走未達成という名のオチ

道の駅「足柄・金太郎のふるさと」から、約234km。

東名高速を西へ西へと走り、午前9時ごろ、愛知県岡崎市の道の駅 藤川宿に到着しました。

藤川宿

ここまで来ると、だいぶ「SSTRを走っている感」が出てきます。

……と言いたいところですが、ふと周りを見渡すと、そこは平日の朝。

そうです。
今日は金曜日。

世の中の多くの人は、普通に仕事中です。

一般道には仕事関係と思われる車が多く、トラック、営業車、軽バン、そしてどこへ向かっているのかわからない車たち。

こちらは千里浜を目指すロマンの旅。
向こうはおそらく納品か営業か現場移動。

同じ道路を走っているのに、背負っているものが違います。

私は夢とゼッケンを背負い、
彼らは仕事と納期を背負っている。普段はこちら側にいるのに今日は違う!

そんなことを考えながら、藤川宿をあとにしました。

藤川宿から北上、道の駅「志野・織部」へ

藤川宿から次に向かったのは、岐阜県の道の駅 志野・織部

距離は約70km。

ここからは少しずつ北上していきます。

朝方の霧はどこへ行ったのか、天気はすっかり回復。
それはありがたい。
ありがたいのですが、今度は暑い。

霧の次は暑さ。

SSTRというイベントは、どうやらライダーの心と体をいろいろな角度から試してくるようです。

午前10時過ぎ、道の駅 志野・織部に到着。

このあたりで、さすがに少し疲れが出てきました。

そこで選んだ回復アイテムは、もちろんソフトクリーム。

ロングツーリング中のソフトクリームは、もはや補給食です。
スポーツでいうジェル。
登山でいう羊羹。
おじさんライダーでいう、心の点滴。

「うまい……」

疲れた体には甘いものが一番だ!(太るけど)

暑さと疲れに、冷たい甘さがしみます。

ただ、ここで少し気になることがありました。

あれ? SSTRライダーがいない

志野・織部に到着しても、周囲にSSTRライダーらしき姿がほとんど見当たりません。

「あれ? みんなどこ走ってるの?」

平日だからなのか。
ルートが違うのか。
それとも、自分だけ妙に早いのか。

ゼッケンを貼ったバイクがたくさん並んでいる光景を想像していたのですが、思ったより静かです。

まあ、混んでいないのは走りやすい。
休憩もしやすい。
写真も撮りやすい。

そう前向きに考えることにしました。

その後、すぐ近くの**道の駅 可児ッテ(CANITTE)**にも立ち寄ります。

ここで獲得ポイントを確認すると、15ポイントを超えていました。

「よし、もう安心」

そう思いました。

思ってしまいました。

この「もう安心」が、今回最大の問題発言でした。

15ポイント超えで完全に油断する男

SSTRには完走条件があります。

ポイントを集めること。
日の出後に出走し、日没前に千里浜へゴールすること。
そして、指定された立ち寄り条件を満たすこと。

……なのですが、この時の私は完全にこう思っていました。

「15ポイント超えた。もう大丈夫」

怖いですね。

人間は、自分に都合のいい情報だけを見つけると、急に強気になります。

この時点で、頭の中にはもう千里浜の景色が浮かんでいました。

砂浜。
ゴールゲート。
記念写真。
そしてビール。

特にビール。

気持ちはかなり早い段階で、すでに宿の冷えた一杯へ向かっていました。

麦?小麦色?に惹かれて・・・(こんな余裕も!)

道の駅「福光」へ!

可児ッテを出たあとは、次の立ち寄りポイントとしている道の駅 福光へ向かいます。

距離は約174km。

ここからは、いよいよ北陸方面へ近づいていく感じが出てきます。

走って、休んで、また走る。

気温も上がり、体もだいぶ疲れてきましたが、ゴールが近づいていると思うと、不思議と気持ちは軽くなります。

午後1時30分ごろ、道の駅 福光に到着。

ここまで来れば、千里浜までは50km弱。

距離だけ見れば、もう本当にあと少しです。

「ゆっくり行っても、14時30分ごろには着いてしまうな」

そう思いました。

千里浜の日の入りは19時前。
つまり、まだ4時間以上あります。

本来なら、この余裕は素晴らしいことです。

時間に追われない。
焦らなくていい。
安全運転でゴールできる。

ところが、この時の私は少し違いました。

「ちょっと早く着きすぎるかな」
「まあ、早く宿に入ってビール飲めるしな」

完全に旅の後半が、ビール基準になっていました。

道の駅福光!(千里浜まであと少し)・・・

午後2時30分、千里浜到着!

そして午後2時30分ごろ。

ついに千里浜へ到着。

SSTRのゴールです。

やはり千里浜は特別です。

砂浜にバイクを停める。
海を背に写真を撮る。
Ninjaの姿を眺める。

「今年もここまで来たなあ」

そんな達成感がじわっと湧いてきます。

しかも、この時間にゴールするライダーはまだまばら。

ゴール付近も比較的余裕があります。

混雑の中で慌ただしく写真を撮るのもSSTRらしいですが、昼下がりの千里浜をゆっくり味わうのも、これはこれで良いものです。

千里浜手前で1枚!!(ここで気づいていれば)

「早めのゴール、悪くないな」

夏の海岸の様な写真!!

そう思いながら、オドメーターを確認。
距離登録をします。

ここまでは、何度も繰り返してきたルーティーン。

距離を入れる。
確認する。
送信ボタンを押す。

何も問題ない。

……はずでした。

「ん?」何か忘れている

送信ボタンを押そうとした、その瞬間。

頭の片隅で、何かが引っかかりました。

「ん?」

何か忘れている気がする。

何だろう。
何か大事なことだったような気がする。

でも、ここまで来る間に何度も距離登録をしてきた流れがあります。

距離を入れて、送信する。

この一連の流れを止められない。

人間、ルーティーンに入ると強いです。
そして時に、とても弱いです。

「あれ?」と思いながらも、指は動きます。

ポチッ。

送信。

そして表示された結果。

完走条件が未達成です。

……。

……え?

もーびっくり!

一瞬、意味がわかりません。

いや、わかりたくありません。

そして数秒後、頭の中で、読んでいなかったRULE BOOKの文字が急に浮かび上がってきます。

あーーーーーー!能登復興応援立ち寄りポイント!!

忘れていました。

完全に忘れていました。

指定能登復興応援立ち寄りポイント。

あーーーーーー!!

そうです。
今年の完走条件に必要な、指定の立ち寄りポイント。

RULE BOOKにちゃんと書いてありました。

特に難しいことは何も書いていません。

指定の場所に立ち寄って、
日没前にゴールしてください。

ものすごくわかりやすい。

にもかかわらず、私は読んでいなかった。

いや、正確に言うと、読んだつもりになっていた。

昨年も、一昨年も、指定ポイントはちゃんと計画に入れていました。

だからこそ、余計に油断していたのです。

「3回目だから大丈夫」

この思い込みが、千里浜の砂浜で見事に回収されました。

伏線回収としては完璧。
ライダーとしては、まったく完璧ではありません。

まだ4時間以上あったのに

しかもです。

この時点で、日没まではまだ4時間以上あります。

時間はある。
体力もゼロではない。
天気も良い。

でも、送信してしまった後では、もう後の祭り。

「やってしまった……」

千里浜の明るい海。
まぶしい砂浜。
爽やかな風。

本来なら最高のゴール風景です。

しかし、この時の自分の心には、微妙な曇り空が広がっていました。

昼下がりの千里浜が、やけにまぶしい。

まるで夏のよそおいで、こちらの浅はかさを照らしてくるようです。

「そんなに明るく照らさないでくれ」

心の中で、砂浜に向かってそうつぶやきました。

ゴールゲートを複雑な気持ちで通過

ゴール・・しました!

とはいえ、ここまで無事に走ってきたことは事実です。

複雑な気持ちのまま、ゴールゲートへ向かいます。

係の方は笑顔で迎えてくれます。

ハイタッチ。

本来なら最高に気持ちいい瞬間です。

しかし、こちらの心の中は、

「すみません、完走条件を満たしていない男です」

という状態。

案内所へ進むと、他のライダーの皆さんがスマホを見せて、完走確認をしてもらっています。

そして記念品と完走バッジを受け取っている。

その姿がまぶしい。

千里浜よりまぶしい。

試しに、自分のスマホを係の方に見せてみました。

すると、

「この時間にゴールして、本当に回っていないの? よく思い出して!」

と、やさしく言われました。

やさしい。
とてもやさしい。

でも、いくら思い出しても、最後に立ち寄った道の駅は福光です。

福光は能登ではありません。

距離感からしても、それはよくわかります。

残念ながら、記憶の中から都合よく能登の道の駅が生えてくることはありませんでした。

最後に係の方から、

「また来年、来てください」

と笑顔で励まされました。

ありがたい。

その笑顔が、また少し心にしみました。

完走バッジが欲しかったわけではない

正直に言えば、完走バッジそのものがどうしても欲しかったわけではありません。

もちろん、もらえれば嬉しい。
記念にもなる。
達成感もある。

でも、それ以上に悔しかったのは、自分の浅はかさです。

RULE BOOKは難しくありません。
むしろ、とてもわかりやすい。

指定の場所を回って、日没前にゴールする。

ただ、それだけです。

にもかかわらず、

「自分は大丈夫」
「3回も出ているから」
「だいたいわかっているから」

この思い込みが、今回の未達成を生みました。

バイク旅で怖いのは、雨でも霧でも暑さでもなく、
意外とこういう自分の中の油断なのかもしれません。

まさに、SSTR3回目の罠。

いや、罠ではありません。

自分で落とし穴を掘って、自分で落ちただけです。

こんな気持ちではいけない!宿へ向かうと心に決める

いつまでも砂浜で落ち込んでいても仕方ありません。

無事に千里浜まで来られた。
事故もなく、トラブルもなく、Ninjaも元気。

それだけでも十分ありがたいことです。

そう自分に言い聞かせ、早々に宿へ向かうことにしました。

宿に着いたのは午後3時30分ごろ。

まだ時間が早いこともあり、SSTRライダーは誰も到着していませんでした。

宿のおかみさんは明るく、

「今日はSSTRで満室ですよ!」

と迎えてくれました。

その明るさに少し救われます。

「そうか、これからライダーがどんどん来るんだな」

と思いながら、まずは風呂へ。

汗と疲れと、少しの後悔を流します。

そして、風呂上がりのビール。

これがまた、しみる。

完走条件は未達成でも、ビールはうまい。

ここだけは、ルールブックを読まなくてもわかります。

夜は居酒屋で一杯

赤星で反省会!

夕食を兼ねて、夜は居酒屋へ。

ビールを飲み、日本酒も飲み、少しずつ気持ちもほぐれていきます。

「ああ、まあ無事に着いたしな」

そんな感覚が、ようやく出てきました。

もちろん悔しさはあります。

でも、これもまたSSTR。
これもまた旅。
そして、これもまたブログのネタ。

そう考えると、少しだけ救われます。

もし完璧に走って、完璧にゴールして、何のトラブルもなかったら、ここまで書くことはなかったかもしれません。

いや、本当は完璧に走りたかったのですが。

それでも、2026年のSSTRは、忘れられない一日になりました。

3回目の参加。
余裕のはずの出走。
早すぎる千里浜到着。
そして、まさかの完走条件未達成。

「RULE BOOKは読もう」

この当たり前すぎる教訓を、千里浜の砂浜で全身に刻み込むことになりました。

2026年SSTRを終えて

今回のSSTRで得たもの。

それは、完走バッジではありませんでした。

無事に走りきった安心感。
千里浜までたどり着いた達成感。
そして、自分の思い込みに対する反省。

特に最後のやつが大きい。

3回目だからこそ油断する。
慣れているからこそ確認を飛ばす。
わかっているつもりが、一番危ない。

これはSSTRだけではなく、仕事でも、日常でも、卓球でも、競馬でも同じかもしれません。

確認不足は、だいたい最後に効いてくる。

しかも、けっこう痛いタイミングで。

それでも、宿で風呂に入り、ビールを飲み、居酒屋で日本酒をいただく頃には、

「まあ、また来ればいいか」

と思えるようになっていました。

係の方が言ってくれた、

「また来年、来てください」

その言葉が、じわじわ効いてきます。

そうです。

来年、また来ればいい。

次こそは、RULE BOOKをちゃんと読む。
指定ポイントもちゃんと確認する。
そして胸を張って完走バッジを受け取る。

たぶん。

……いや、念のため、出発前に誰かに確認してもらった方がいいかもしれません。

そんなわけで、2026年SSTR。

完走条件は未達成でしたが、無事に千里浜へ到着。
そして心に深く刻まれたのは、

「3回目の余裕ほど信用ならない」

という、非常に実用的な教訓でした。

3回目のSSTRの夜は、少しの反省と、少し多めの日本酒とともに、更けていきました。
SSTRからの帰路につづく!!

26年 SSTR行程!!(数日前のイメージ)